会場に入ると演奏者達が思い思いに音出しをしている。みんな普段着で、張りつめた空気はない。入口で頂いた冊子を見ていると一瞬会場内がざわつき、空気の流れが変わった。ステージを見るとダウンジャケット(!)にカーゴパンツ(!!)ボサボサ頭(これはいつもですね)の小澤征爾さんがいる。

「20年前、初めてこの場所(水戸芸術館コンサートホールATM)でコンサートを行った時、アンコールでやった曲です」
という説明から始まった曲はなんとバッハの「G線上のアリア」

680席の小さいコンサートホールだけ重力から解放され、ふわりと浮かんだような感覚に襲われる。大袈裟な話ではない。あまりにも完璧なアンサンブルで、本当にそこで演奏されている気がしない。小澤さんはステージの中央でゆっくりと、まるで太極拳をしているかの様に動いている。演奏者達も大きなひとつの意志を持った生き物のようだ。

疲れ、寝不足、イライラ。
ここ何日か、僕を取り巻いていた感覚が溶け出して流れていく。

生きていてよかったなと思う。

あらためて思う。
こんなに素敵な芸術館のある水戸に引っ越してきて本当によかったと。
地方にいても何も諦めなくていいんだ。
大切なことを大切なままに暮らしていけばいいんだ。

「水戸芸術館がなかったら、とっくに水戸から離れていたと思いますね(シモムラセンセイ:愛知県出身)」

オープン前からずっと言ってきていることだけど、blackbirdではもっともっと水戸芸術館を援護射撃していこう。

水戸芸術館が日常的にある暮らしをより多くの人へ。

水戸芸術館広報のヤマモトさん、音楽部の皆さん、こんなに素敵な場を作って下さって本当にありがとうございます。きっと現場は想像を絶する大変さだったと思いますが、感動はしっかり伝わりましたよ。火曜日に千波湖で行われる野外スクリーンコンサート、残念ながら僕は参加できませんが、アキと娘はお邪魔する予定です。がんばって下さい。