これを書いているのは2009年の4月12日。

帰国後約半年、店もオープンして4ヶ月が経つ。

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最終日

ミラノから成田、そして水戸へ。ホテルを出発してからほぼ丸一日、24時間の長旅だ。なかなかの苦痛。途中、飛行機で娘がなかなか寝なくて苦労する。成田に着いたら天丼をビールで流し込む。和食っていいな。

いったいこの旅はどんな旅だったのだろう。

ここまで読んでくれた方ならお分かりだろうが、ミラノでもシチリアでも僕らは暇さえあればBAR(バール)に入り、カフェ(エスプレッソ)を飲んで歩いた。バリスタの動き、バンコのものの配置、飲み物、食べ物、お客さんの流れ等、出来るだけ詳細に記憶し、自分の店のイメージを膨らましていった。

不安だったのだ。

ここ数年のスペインバルブームで一気に定着した感のある立ち飲み。でもそれは東京での話。果たして本当に水戸で「イタリアンバール」が成立するのか?エスプレッソの立ち飲みをする人がいるのか?

エスプレッソといえば未だに→少なくて苦い=不味いのイメージ。でもエスプレッソに罪はない。不味いエスプレッソに罪があるのだ。そして美味しいエスプレッソを知る人は少なく、出会える場所にいたってはほとんどないのが現状。

では、実際はどうだったか?

本物を知る人は少数だがいた。
そんな人たちに支えられて(というか絶滅寸前の朱鷺〈トキ〉を守れ!くらいの勢いで)なんとかここまでやってきている。とある常連さんはオープン前に店の前で配ったblackbird newsの店内図面に「立ち飲み」の文字を発見して大興奮、手帳のカレンダーのオープン日に印をつけてまだかまだかと待ってくれていたそうだ。そして未だに応援や励ましのメールがたくさん届く。

バールという素敵な文化を僕らは水戸に定着させたい。
コーヒーはコンビニや自動販売機で買い、買い物もほとんどネットで事足りる。誰とも会話しなくても生活できてしまうけど果たして本当にそれでいいのか?人と人との関係がどんどん希薄になっている現代にこそ、バールとバンコは有効な役割を果たすはずだ。

「朝から夜までオープン。クイックもスローもある。サプライズもある。日本の地域に心地よいバール、日本人の『止まり木』になること」

(横山千尋著「ITALIA BAR」表紙より抜粋)

blackbirdのマークにある鳥かごの中には鳥がいない。自由に出たり入ったりできる止まり木としての鳥かごをイメージしたためだ。これからもたくさんのblackbirdsの止まり木となるべく、一杯のエスプレッソ、一皿のパスタに思いを込めていこうと思う。

 

10日間のイタリア旅行。親子3人でかかった費用は約70万。

安いか高いかは言うまでもない。

僕らが得たものは計り知れないのだから。