4日目

430

夜中、娘がうなされている声で目が覚める。ゆうべのことを夢に見ているのだろうか?トイレに行きたかったが、真っ暗で何も見えないため諦める。いつの間にかまた眠りにつく。

 630

再び目が覚める。横になりながらゆうべの顛末を思い出し、笑う。なんだったんだろう、あれは。

 700

起きてきた娘が「きのう夢にワニが出てきた」と騒いでいる。「暗いところにワニが出てきて怖かった」と。うなされていたときだ。何かのトラウマにならなければいいけど。

 800

腹が減ったのでとりあえずBARを探して外に出る。アルキメデ広場に行くと2件バールがあり、近い方に入る。カプチーノとターボラカルダ(作り置き)ピザを注文。う〜ん、イタリアだろうがなんだろうが、まずいものはまずい。失敗。

近所のスーパーに寄って水を買って一度宿に帰る。

宿は、いわゆるB&Bという部類なのだが、ブレックファーストは付いてないので自分たちでなんとかするしかない。広さはダイニング5畳、キッチン5畳、キングサイズのベットがあるメインの寝室8畳、シングルベットが2つある予備の寝室5畳、バストイレ。床は全部石造りで(大理石?)古い調度品があって凄く素敵。キッチンも4口のコンロとオーブンまで付いてるから、かなりしっかりした料理ができる。20人くらいのホームパーティーが出来そうなそんな部屋。 

1100

とりあえず島を歩こうということになる。僕らが滞在していたのはシラクーサの中でも観光地であるオルティージャ島。島といっても半島で、太い2本の橋でつながっている。昼間は夜のあの怖い雰囲気とは違って観光客も多く、歩きやすい。観光客の大半は退職したと思われる白人夫婦(結局この島であった日本人は4人だけだった)。とにかく島全体が遺跡か映画のセットのような雰囲気。10分ほど歩くと、遠くにパラソルが連なった場所を発見。ひょっとして・・・、やっぱり市場だ!若干興奮して中に入ると、狭い路地に野菜、フルーツ、魚、チーズ、肉、パン、日用品など地元の人の生活に必要なものがほとんど揃いそうな品揃え。そう、こういうのが見たかったのだ。このためにわざわざイタリアまで来たのだ。やっぱりトマトは2種類。小ぶりでまん丸なものと、縦長でナスのような形をしたもの。どっちも発色が良く、つやつやして旨そう。なすは日本でいう米なすくらいの大きさ。見た目から想像するに、ちょっと大味な感じだが、実際に食べたらどうなのだろう?ズッキーニ、ピーマン、カリフラワー、ブロッコリー、インゲン豆、ウズラ豆、サニーレタス、にんにく、タマネギ、人参、フェンネル等々。不思議なのは「これなんだろ?」という野菜がほとんどないこと。もしかしたら、その辺に日本でここまでイタリア料理が浸透した理由があるのかもしれないな。そして、市場に並んでいる野菜はどれも野性的で力強さにあふれていた。うれしくなって写真を撮りまくっていたら「買わないんだったらあっちいけ!」「写真とっただろ!このドライトマト買っていけ!」と怒られる。でもたのしいから気にしない。

そして魚屋もまた、すごい種類の魚介を並べて威勢のいい声を張り上げている。アサリ/ムール貝/マテ貝/ハマグリ/エビ/スカンピ/イカ/タコ/シャコ/サメ/カジキマグロ/スズキ/黒鯛/白魚/太刀魚/真イワシ/カタクチイワシ等々。この近郊で水揚げされるありとあらゆる魚が並んでいる。地元のレストランらしき人も大量に買いに来ている。そりゃこれだけ安けりゃ買いにくるわな。

肉はなぜか加工品のみ。とんでもなくでかいモルタデッラ(ハム)、サラミ、生ハムをその場でスライスして量り売り。こっちの人はそういう手間を惜しまないんだな。なんというか極端にグルメとかじゃなく、日常的においしいものを食べるということに対して貪欲な気がする。チーズも普通に20種類くらい固まりで売っていて、どれも旨そう。

途中、しわくちゃのおじいちゃんが寄ってきて「チャーオ、バンビーナ!キレイヤ、キレイヤ」となぜか関西弁で娘のほっぺたを突っついている。なんか笑える。

ブドウを一房買って近くの広場で食べる。皮ごと食べられるブドウは味が凝縮していてとっても旨い。他にオリーブのマリネも買う。

13:00

海辺のダルセーナというリストランテでランチ。ハウスワインの白をハーフボトルと前菜の盛り合わせ、ボンゴレビアンコ、カジキマグロとズッキーニの生パスタを注文する。ワインはとてもすっきりしていて飲みやすく、前菜と一緒にぐいぐい進む。前菜は魚介のフリット、マリネ、カジキマグロのビネガーマリネ。どれもおいしいけど、マリネのエビがちょっとブヨブヨしてる。もっとプリプリのを想像していただけに残念。ボンゴレも悪くないけどちょっと油っぽいなぁ。でもカジキとズッキーニのパスタは美味!上にかかっているパン粉がいいアクセントになって、もちもちの食感のパスタもおいしい。全体としてはやっぱり場所がいいだけに観光客相手のリストランテなのかなという印象。これで45ユーロ。結構いい商売だ。料理の点数が低かったからデザートとカフェはパス。他を探すことにする。

15:00

海辺をぐるっと回ってマレーナ門の側にジェラートがおいしいカフェがあるらしいので行ってみる。

席の大半はテラスで、目の前が海というなかなかのロケーション。娘がイチゴ、アキと僕でピスタチオとヘーゼルナッツ。これがすんごい旨かった!それぞれの素材の味がしっかりしてるから、ひょっとしたら自家製かな。ジェラテリアはどこも自分のところで作っているって話を聞いたことがあるし。満足して休憩のために一旦宿に帰る。

20:00

ディナーはゆうべ助けてくれたエンゾの店、エノテカ・ソラーリアへ。

「チャーオ!ゆうべは大丈夫だったか?マンジャーモ(食事)はまだか?」

と一気にまくしたてられる。「まだなんだけど、何か作れる?」と聞くと厨房の中に入って何か作り始めた。出てきたのはでっかい餃子みたいなパン。中にほうれん草とジャガイモとツナのようなものが入っていてなかなか旨い。一緒に注文した赤ワインと、かなり気楽な夕食だ。昨日は必死過ぎて気に留めなかったけど、とんでもない量のワイン。酒屋でもあるからその場で飲んでも買って帰ってもいいらしい。メインで、ソーセージ、イワシのロースト、チキンのコトレッタを注文。一人で作って一人で運んで、他の客の相手もしてるからなかなか料理が出てこない。でも必死で動いているエンゾの様子を見ていると微笑ましくてこっちものんびり食事を楽しもうという気になるから不思議だ。ソーセージはスパイス(オレガノとおそらくアニスシード)が効いていて、なかなかの味。エンゾが選んでくれたパンチのある赤ワインとの相性もばっちり。コトレッタもイワシも笑っちゃうくらい素朴で、でもちゃんと素材の味がしてとても美味い。完全に地元の普段の食事。エンゾはたまにテーブルに来て「どうだ、旨いだろ?」みたいなことを言ってどこかに行く。いい店だなぁ。ワインに対する愛情があって、みんながエンゾに元気をもらいに行ってる。客はそれぞれのやり方でくつろいでいてそれでも店全体に共通の暖かいムードが漂っている。

お会計をお願いする時に、アキが「今日カレが誕生日なの」と英語とスペイン語とフランス語とイタリア語を総動員して説明してくれる。そう、今日は僕の32歳の誕生日なのだ。しばらくして伝票と一緒に1本のボトルと3個のグラスがテーブルに置かれる。エンゾが店内にいる客に呼びかける。

「こいつ今日誕生日なんだって。みんなでお祝いしようぜ〜!サルーテ!」

唄を歌うなんてまどろっこしいこと抜き。「ホントは自分が飲みたかったんじゃない?」っていうくらい旨そうに一気飲みしたエンゾにつられて僕とアキも一気飲み。家族と、エンゾと店内にいた6、7人のお客さんにも祝福してもらって、何ともいえない優しい気持ちで32歳の誕生日を過ごしたことは一生忘れないだろうな。

 


11月14日 晴れ

11時から酒屋と打ち合わせ。途中引っ越してきたばかりのフジオを拾って同行させる。フジオが作ったメニューを叩き台にしてうちの店のコンセプトややりたい方向性などを話し、ひとつづつ決定していく。生ビールは当初、ハイネケンエクストラコールドを導入したかったが、都内の一部店舗でしかまだ扱いがないということで「いつか導入する」ことを前提にハイネケンに決めることにした。ワインに関しては、とりあえずある程度に絞って試飲して決めていこうということになる。

 

フジオを連れて現場へ。毎日のブログで進行状況は知っているとはいえ、実際現場を見て大いに盛り上がるフジオ。だろ!?いいだろ!?素敵だろ!?と言いかけたけど、大人げないのでやめる。

引越後の片付け&新生活のため、今日から1週間くらいフジオは休み。引き渡しが終わる25日以降、また登場する予定。

店の方は一気に仕上げモードで、ペンキ屋、クロス屋、レンジフード屋と現場監督の上野さんの合計7人があの狭い店で作業をしている。ペンキは昨日の下地塗りが終わって、仕上げの段階に。店全体がチョコレート色に塗られていく。クロスは天井部分はほぼ終了。しかしこの天井「キャバレー?(アキ談)」だそう。いいじゃないか、キャバレー。そしてレンジフードがつくと一気に厨房らしくなる。

帰りに店の外に店名、オープン日、営業時間、定休日を記した紙を貼る。

文字通り外に向けた宣伝が始まる。


11月13日 曇り〜晴れ

午前中保健所へ。手続きに必要な書類を取りに行く。

帰宅後アキと経理面での打ち合わせ。blackbirdの経理はアキが担当する。初めてのことだから分からないことだらけ。誰にも聞けない状況の中、本を見たりネットで調べたりしながら独学している。結局青色申告会に加入し、いろいろ教えてもらいながら進めようという結論になる。

 

午後、現場に行くと今日はペンキを塗っている。今日明日中にほとんど全部塗って、終わったらもうクロスを貼るそう。少しずつ仕上げの作業が進んでいく。

16時過ぎ、岩松さんが来て現場で打ち合わせ。照明の位置など、細かい部分の修正案を聞いてもらう。やっぱり現場にいて考えるといろいろなことが浮かんでくる。あと10日で引き渡しだ。

岩松さんから来る途中に寄ってきた制作途中の看板の写真を見せてもらう。

「まだ途中だけど、すごいいいよ〜!」だって。楽しみ。

デザインチームからも昨日印刷されたばかりのショップカードの写真が届く。こっちもすごい素敵な仕上がり。いろんな人の念がこもってるからね。

そしてもうひとつ。なんと今日blackbirdバリスタの山田藤雄が水戸に引っ越して来た!

藤雄とはD&DEPARTMENT DININGで約2年一緒に働いたんだけど、一緒に働いているときの印象は正直薄い。こんな言い方はひどく失礼かもしれないけど、もし最初の印象のままだったらきっと雇わなかっただろうな。でも人間武器を身につけると変わるもの。もともとのオタク気質が幸いして(!?)、バリスタという仕事にどっぷりのめり込んでからは顔つきまで変わってすっかりたくましくなったものだ。前にも書いたかもしれないけど、今回藤雄は自分から「働かせてくれ」と言ってきたのだ。びっくりしたけどうれしかったし、その瞬間から藤雄の武器(=コーヒー)がblackbirdの武器に出来るような店作りにシフトしてきた。だからblackbirdは

「まず水戸で一番旨いコーヒー屋を目指す」

ことを目標に掲げている。

 

まだ下地。ここから全面を塗っていく。

当たり前だけど、これも手作業。

看板の支柱。力強い印象。

活版印刷。


6:30

自然と目が覚める。暖房が効いているのに乾燥してない室内はかなり快適。ゆうべ風呂に入らず寝たので目覚めに熱いシャワー。

7:30

朝食。昨日と同じ内容。カプチーノは今日もちょっと薄くイマイチ。近くに座った白人が娘の事を興味深そうに見ている。きっと黄色人種の子供が珍しいのだろう。

9:00

「シチリアに出発する前に、山下くんを誘って近くのバールに行こう」ということになり、部屋まで誘いにいくと、彼もそう思ってくれていたらしく快諾される。そしてその場で彼が働いているイタリアンレストランが出したレシピ本を見せてもらう。写真や絵の質感、コメントなどとっても好きな感じ。日本に戻ったら是非行ってみよう。


ゆうべのピッツェリアの方に歩いていくとカウンターに何種類ものパニーニを積んだ店を発見。迷わず入るとお昼に向けておじさんが黙々と作っている。モッツァレラ/トマト/バジル、プロシュート/ルッコラ、グリルしたナス/ズッキーニ/チェダーチーズ等々、見てるだけでよだれが出てくるくらい旨そう。とりあえずカプチーノを注文。うん、旨い。味がしっかりしていて、ミルクとエスプレッソのバランスもいい。シチリア行きの飛行機の中で食べるためにパニーノを買っていく。

11:00

フロントでタクシーを呼んでもらって、山下くんに見送られながら出発。彼とはまたどこかで会えそうな気がする。彼が日本に戻ってくる2ヶ月後にはもう僕の店はオープンしているだろう。

11:40

ミラノ中央駅からプルマン(高速バス)でマルペンサ国際空港まで移動。娘は腹が減ったらしく、さっきのパニーノ(ハム/チーズ)をぱくついている。イタリアでも彼女の食欲はおさまるまるところを知らない。

12:30

空港に到着。国内線で、時間的に余裕があるので朝買ったパニーノをビールで流し込む。生ハム、モッツァレラ、ルッコラのパニーノとズッキーニ、ナス、ほうれん草、カマンベールのパニーノ。どちらも冷めていたけどとても旨い。生ハムがびっくりするほどしょっぱかったが、ちょっと安心する。ベーコンやパンチェッタ、生ハムは本来保存のための冷蔵技術が今ほど優れていなかった時代の知恵で生まれた食べ物。しっかり塩漬けして、時間をかけて乾燥なり、薫製させるから長持ちし、うまみが凝縮されている。でも日本で売っているそれらのほとんどは塩気の代わりに大量の保存量と旨そうに見せるための着色料で漬けられている。塩気を嫌がる消費者に媚びているのと、簡単に安定したものを作れるからなのだろうが、はっきり言って迷惑だ。こっちのハムやチーズはどれもしょっぱい。でも日本のものよりずっとおいしい。

14:25

ミラノ発カターニャ行き、定刻通り出発。easyJetという格安航空会社で、機内のサービスが全くない分とても安い。途中、機内で買ったトマトジュースがトマトを飲んでるみたいに凄く濃厚。旨い。そして、窓の外から地中海のきれいな景色が見える。青い海、遠くに見える島。

16:20

シチリアの東、カターニャ空港に到着。デッキに降りるといきなり暑い。そりゃそうか。北海道から九州に来たようなものだ。

出口に今回の旅でお世話になるAKIさんとパートナーのFRANKが出迎えに来てくれている。シチリアでの最初の3日間はシラクーサという街のフランクの友人のフィリッポのB&B(ベッド&ブレックファースト)に滞在するが、フィリッポがベルギーに出張中のため、部屋の鍵をAKIさんが僕らに渡してくれることになっていたのだ。AKIさん達と、4日後の再会を約束して別れ、バスの時間までバールで食事をとることに。ここのパニーノも見事においしい。きっとひとつひとつの食材がいいからだろうな。

終止こんな格好で歩き回る

17:40

すっかり辺りは暗くなった頃にシラクーサ行きのバスが出発。バスは結構混んでいて、外に見える景色はなんだか南国のよう。運転手の流すイタリアの歌謡曲がみょーにタイポップスみたいで笑える。同じイタリアでもこんなに違うものなんだな。バスの中でアキと到着してから宿までの地図を確認する。辺りはすっかり暗く、窓から見える景色は寂れていて、タイの田舎にいるみたいだと話す。雰囲気的にはかなり悪い。こんな街に夜たどり着いて本当に大丈夫なのだろうか?

くやしいくらいカッコイイゴミ箱

19:00

バスが到着。本当は終点は郵便局前なはずなのに(地球の歩き方情報)、違う場所で降ろされる。娘は寝ていてアキがだっこ。全部の荷物は僕が持ち、かなりの警戒態勢の中とりあえずもっと明るいところへ行ってタクシーを拾おうということになる。ちょっと歩いたところにシラクーサ駅があり、タクシーがいる。話しかけるが英語は通じない。アキが片言のイタリア語(アキは大学の第二外国語でスペイン語を結構真面目にやっていたから、イタリア語もちょっとは話せる)でプリントアウトしてきた地図を片手に説明すると「スィースィー」とおっちゃんは答える。どうやら分かってくれたらしい。とりあえず安心して車に乗るとメーターがない。「もしや、また白タク?」と思って「メーターは?」と聞くと「定額だ」と言っている。どうやら本当らしい。そうして連れて行かれた場所で、「ここからは入れないから後は歩いて行ってくれ」と言われ地図をながら必死で歩く。住所を頼りにようやく見つけた数字の「86」。入口の扉を開けると・・・中は中世の遺跡みたい。もう怖くてちびりそうになりながら、電気を付けながら3階まで昇っていくと

「バチン!」

という音と共に辺りは真っ暗に。

「あぁ、終わった。よく分からないけど、ここで全部終わりだ。」と一瞬思いながらも持っていた携帯電話のモニターの明かりを頼りにもう一度電気を付ける。どうやら一定の時間が経過すると自動で電気が消える仕組みらしい。ようやく3階までたどり着いたのに、またトラブル。今度はなんと

「ドアが開かない」

この木のドア、鍵は入って回るんだけど、どうやっても開かない。がんばって開けようとしているとまた「バチン!」で真っ暗に。ホント、勘弁して。15分近く格闘して、それでもダメだったからAKIさんに電話してみることに。「回しながら押したり引いたりしてみて」とのこと。確かに開きそうな感触はあるんだけど、どうやっても開かないのだ。気づくと娘も起きていて「そんなに(ガンガン)やったらこわれちゃうよ〜」と。そして、旅行前にAKIさんから「シラクーサで困ったことがあったらエノテカ(酒屋)のエンゾというひとを頼ってみてください」と言われていたのを思い出し、持ってきた荷物はドアの前にチェーンロックでくくり付け、一路エンゾのところへ。エンゾが怖い人だったらどうしよう・・。とか思いながらも他に選択肢はない。500mくらい石畳の夜道を歩くとあった!エノテカ「ソラリア」。中に入り「ボナセーラ!エンゾ?」と尋ねると70年代のジーコみたいな人が手を挙げた。笑顔がとても素敵だ。「助かった〜、この人ならなんとかしてくれる」と内心思う。アキが「フィリッポの宿に来たんだけど鍵が開かない。助けてくれないか?」と英語で言うとさっぱり通じない。どうやらイタリア語しかだめらしい。困っているとエノテカの客に英語を話せるイタリア人がいて通訳してくれる。以下エンゾ「分かった。この鍵を持ってもう一回チャレンジしてみろ(と青い別の鍵を渡される)。それでもダメならキミら(アキと娘)はもう一度ここに来なさい。キミ(僕)は荷物の前で待ってなさい」とかなり具体的な指示が飛ぶ。急いで宿に戻り、試して見るがやっぱり開かない。もう、鍵を強く握りすぎていて手の皮がひりひりする。アキと娘だけであの夜道を歩いていかせるのはちょっと危険なので僕も一緒にまたエンゾのところまで行く。店に入ると「あれ?ダメだった?なんでお前も戻ってきたんだ?」と怒られるが、説明できない。「ちょっと待ってなさい!」といって店の奥に入ると「フィリッポ〜!お前のところの客のジャポネが来て鍵が開かないって言ってるぞ〜!」と大声で電話をしている。ベルギーまで国際電話をかけているのだ。こんな状況なのにかなり笑える。エンゾは店に残っていた何人かの客を残して(エンゾは一人で店を切り盛りしている)一人で宿の方へすたすた歩き始める。僕らも負けじと追いかけるがかなり早い。途中僕の方に手を差し出されたので握手し返すと「違う!鍵だよ鍵!」と怒られる。この辺、お互いぜんぜん言葉が通じないのにどうやって会話をしていたんだろうか?そしてもう一度手を差し出されたので今度こそ握手だろうと思って握り返すと「だから違うって!もうひとつ鍵を渡しただろ!それだよそれ!」とまた怒られる。もう笑うしか無い。でもエンゾは真剣そのもの。なんたってこの訳の分からない客のトラブルを解決して、早いところ店に戻らなきゃいけないんだから。エンゾが鍵を差し、前後に「ガクッ、ガクッ」と何回かやると

「開いた!」

どうやら鍵が潮風で錆び付いていて開きにくくなっていたらしい。エンゾは台所から食器用洗剤を持ってきて鍵に刷り込んでいる。「これでとりあえずは大丈夫だから。明日、また油を注しに来てやるよ」と言ってこれまた急ぎ足で行ってしまった。

 

しかし、なんて夜だ。

イタリアは本当に先進国なのか?

 

写真は後から撮影したもの。実際ほぼ真っ暗

86。暗くて探すのが大変だった

気分は探検家。ミイラとか、ピラニアとか。

このドア。死んでも忘れないでしょう。

命の恩人 エンゾ


11月12日 曇り

朝起きると鼻と喉がヘン。風邪だ。

やらなきゃならないことは山積みだけど、長引くと厄介なので全ての予定をすっ飛ばして、一日寝る。


11月11日 曇り 寒い日が続く

Amazonで家庭用のレーザープリンターを購入する。FAXやコピーの機能が無く、モノクロ印刷のみのモデル。blackbirdのチラシは今後これで全て印刷する。カラープリンターと迷ったが、紙の色と質で変化をつけた方が自分たちらしいと判断。

頼んでおいたアスクルのカタログも到着。
「こういうカタログって、見てるだけでわくわくするよね」アキ談。
あんた、シモジマのカタログもらった時も同じ事言ってたじゃん!
 

午後から現場へ。今日は朝から厨房内にタイルを貼っていて、僕が行った時にはもう既にほとんど終わっていた。馬鹿みたいな感想だが「なんか風呂みたい」。それにしても一分の狂いも無くきれいに貼られている。職人さん達の作業を見ながら、ここで働く自分を想像する。どういう流れで動いてどう皿を作っていくのか。忙しい時間にレジが立て込んだら?電話が鳴ったら?4皿ノーシェアでパスタのオーダーが入ったら?そして僕の位置からテーブル全部が見渡せると思っていたが、一番奥の席が見づらい。予算オーバーで外してしまったミラーをそこだけやっぱり付けようかな。

 
本屋で「料理通信」と「料理王国」の最新号を見つける。どちらもビストロ特集で、かなり面白い内容だが、迷いに迷って買わずにおく。読めてない雑誌や本だけでかなりの数あるし、もうこれ以上の情報はシャットアウトするべきだろう。ついでに店で定期購読する雑誌を何にしようか考える。客層とも関係してくるし、なにしろそういうのを考えるのは楽しい。

 
帰って家のオフィス部分の模様替え。ちょっと発想を変えてみるだけで、随分機能的になった。本当は新しいMacが欲しいんだけど(うちのは4年半前のeMac)、そこはぐっと我慢。

夜、何通かイタリア旅行記の感想メールが届く。こういうブログをやっていて、何が楽しいってダイレクトに感想をいただける事。まだ半分も書けてないが、気になって他の仕事にもいい影響がないので今夜と明日で仕上げたいな。

アスクル、シモジマ、無印。オフィス御三家。

風呂?手前のカウンターの収納、使いやすそうでしょ?

一枚ずつノコギリで切って貼っていく。職人技。


11月10日 曇り

10:30、日本政策金融公庫のオフィスへ。

12:30にアキの妹のめみちゃんが来水(水戸に来る事。僕が作った言葉)。めみちゃんはどういうわけか、僕が昔お世話になっていたペパーミントカフェで今働いている。全員でインド料理屋「カルマ」へ行くと満席で入れず、15分ほど待つ。やっぱり美味しい店はみんな知ってるんだ。お店の方は、僕らの事を覚えていてくれて、いろいろと声をかけてくれる。とってもいい雰囲気。料理も凄く美味しい。特に焼きたての全粒粉チャパティが最高!ごちそうさまでした。

 

全員で現場へ。飲食業でがんばっているめみちゃんにとっても店が出来上がって行く過程を見るのは凄く刺激になるはず。厨房の奥に壁が立って、カウンターの上に収納のボックスが乗った。かなり店の輪郭が見えてきている。

そのまま歩いて芸術館へ。今日は月曜で休みだったけど、芝の上で遊ぶ。やっぱり気持ちがいい。

 

厨房屋さんへ。中古厨房機器のいい状態のものががなかなか揃わず、もしかしたら搬入が少し遅れるかもしれないとのこと。うん、困ったな。小物コーナーにカクテル用にちょうどいいゾンビグラスを発見。強化ガラスだし、東洋佐々木ガラスで品番も分かるから追加もしやすい。1ダース¥1000だったのでありったけ(17個)買う。

 

夜はOWLSへ。ヒロさんもペパ出身だからめみちゃんの大先輩になる。なんか不思議な感じ。娘は奥さんのノリちゃんにすっかり懐いて一緒に遊んでもらっている。持っていったイタリアの写真を見せながら大いに盛り上がる。相変わらず料理もおいしくて、オススメされて頼んだパイナップルチャーハンがとっても美味!ごちそうさまでした。

 

家に帰って果実酒の様子を見てみる。約2ヶ月で結構いい色になってきた。試しにロックで飲んでみるとまだちょっと薄いけど、凄くいい香り。あと1ヶ月。間に合うかな。

キッチン奥に壁が。

芸術館にて

アウルスにて。ノリちゃんと娘。

プラム酒


6:00

目が覚め、携帯の時計を見るとまだ6時。セントラルヒーティングのおかげで室内は暖かく、とても快適。ミラノはイタリアの中でもかなり北の方で緯度は北海道と同じくらい。窓を開けて外を見るとまだ薄暗く空気がひんやりしていてとても寒い。眠ってしまうのがもったいなくて、ベットライトで昨日のスポーツ新聞を読む。

7:30

朝食は1Fでビュッフェ。中に入ると「ボンジョルノ。カフェ?」と聞かれる。分からないという顔をしていると「カフェ、カプチーノ、ティー・・・」と言われたので「カプチーノ」と答える。マシンはチンバリの2連。手つきはなかなかだけど、薄くて味はイマイチ。イタリアの朝食らしくブリオッシュを食べる。ブリオッシュも味はそこそこ。モルタデッラ(ハム)とサラミとパンでサンドイッチを作り食べる。こっちはまずまず。

がやがやと食べていると日本人らしき青年が1人で入ってきた。雰囲気や服装から自分と何か近いものを感じる。ビュッフェを取り分けるときの手つきや振る舞いを見てもおそらく同業じゃないかな・・・。部屋に帰って「さっきの日本人の男の子、よっぽど話しかけようかと思ったけど・・・」とアキに言うと「あたしもそう思ってた」との返事。やっぱり。

9:10

すこし早いけど、ミラノをきちんと楽しめるのは今日だけということもあり、せかされるようにしてホテルを出る。最初の目的地はドゥオーモ(大聖堂)だ。シチリア滞在のことばかりに気を使って、ミラノのガイドブックどころか地図すらも持っていなかったので、ホテルのフロントでもらった地図を頼りに歩く。歩き始めて20分くらいした時、後ろから声をかけられた。「誰?」と思って見ると朝ホテルで顔を合わせた日本人だ。

「あっ、ホテルの?」「そうです。後ろ姿が見えたもので」

というわけで、お互い簡単な自己紹介をする。彼の名は山下くん、26歳。代々木のイタリアンレストランでフロアマネージャーをしていて、2ヶ月の休暇をもらいワインの勉強のために来週からフィレンツェの学校に通うらしい。とりあえず今日一日予定も無くぶらぶらするつもりだったという彼を誘い、みんなでドゥオーモまで行く事に。

一歩大通りに出ると、街の佇まいに圧倒される。ゆうべは夜で気づかなかったが、石畳の歩道、木枠のドアを持つトラム(路面電車)、古い街並。どれも本当に素敵。街全体が、以前行った事のあるヨーロッパの他の都市(ロンドン、アムステルダム)よりも「味のある枯れ方」をしている。古い建物は確かに古いけど、古いだけじゃないのだ。僕は「一緒に歳を重ねていけるか?」という基準でものを選ぶ。20歳くらいからずっとそうで、その当時に買った服や靴、鞄も当たり前のように使っている。古さが味に変わるようなものしか選ばない。だから当然高い。だからほとんど買い物をしない。特に結婚してからは金銭的な自由が無くなったという事もあるが、身につけるものをほとんど買わなくなった。ヨーロッパの文化には、そんな僕をわくわくさせてくれる何かがある。

10:15

ドゥオーモはその極みだった。ここまで巨大で、尊大で、真摯な建物を見たのは初めてかもしれない。いったいどのくらいの時間と金が投資されたんだろう。外から見て驚き、中に入ってもっと驚き、エレベーターで上に上がってものすごく感動した。正直、「ミラノコレクション」や「ミラノデザイン見本市」のイメージからもっと近代的な(現代的な?)都市を想像していて、全然期待していなかった。だからこんなに素敵なミラノの街にたった2時間で僕はすっかりやられてしまった。

ドゥオーモの広場に「ABBYROAD/Beatles」の巨大な模型があり、うれしくなって写真をたくさん撮る。デザインはジュリアン・オピー?

12:00

ダンテ通りを城の方に向かって歩き、「ダンテ」というカフェでランチ。マルゲリータ、トマトのリゾット(本当はポルチーニのリゾットが食べたかったのに!無いっていわれた)、アーティチョークのパスタ(ペンネ)を4人でつつきながら食べる。食事はう〜ん、ツーリスト向けかな。食べながら、山下君とお互いの事を話す。飲食畑、しかもお互いイタリアンだから、ものすごく話が通じやすい。バリスタを本業として、普段はフロアマネージャーをしていること。これから2ヶ月イタリアに滞在して、翌週からワインの学校に通うこと。平日は3食と宿舎までついているからどっぷり勉強。出来ればこっちでソムリエの資格を取りたいこと。週末はフリーだからいろいろな街を回ってみたいこと・・・。しかも彼は何度かD&Dに来た事があり、彼が働いている店「LIFE」はDと関係が深いTRUCKの家具をたくさん置いているそう。なんでそんなにツボな店なのに今まで知らなかったんだろ?僕の方は、自分がこれからやろうとしている店について話し、彼の意見を求める。帰ってくる答えが若いのに鋭く、的確。いや、若いのにっていうのは違うな。若いとか先輩とか、そんな事はもう関係ないんだろうな。彼と話しているとそんな風に思う。僕もこのくらいの年齢でイタリアに来れていたら、何年か滞在していたら何か変わったかな。いや、それも違うな。来れたらじゃなくて、来れなかったんだし、今来るべくして来たのだと思おう。でも、ちょっと彼の若さと自由さがうらやましくなる。それはただのないものねだりなのだろうか?

13:00

ミラノの建造物としては一番大きいというスフォルツェスコ城の中を散策する。とにかくでかいが、でかいだけで、感動は伝わってこない。走り回っていた娘が、アキにだっこされたまま寝る。

14:00

ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を見にサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会へ。

まだ時間があったので、目の前のバールで一息。イタリアでの最初のエスプレッソ。う〜ん、普通。砂糖を入れると角が取れ、いい味に。今回の旅行、バールの視察も大きな目的だから、バリスタの動きをじーっと眺める。早い、けど、雑。これがイタリア流なのだろうか?

15:45

最後の晩餐を見るためには事前予約が必要なため、山下君とはここで分かれる。かの有名な絵画。実際に見ると想像以上にでかくて、なのにとても静かなものだった。つまらないというのではない。その逆で、静かにものすごい迫力で迫ってくるものがある。反対側にも同じくらいの大きさで書かれた絵があるのだが、もう比較にならない。感動で背中の辺りがぞわぞわする。ここに来る事が出来てよかった。

16:30

別の道を通って、ドゥオーモ経由でホテルの方までまた歩く。ミラノにはとにかくバール、カフェが多い。店の参考にするために、持って来たデジカメでどんどん写真を撮影する。娘がずっと「だっこ」になってしまい、アキが辛そう。歩きながら夕飯をどこで食べるかをずっと考える。結局、アキが日本で調べたピッツエリアに行こうという事になったんだけど、大体の住所と、頭文字に「M」が付くということしか手がかりが無く、付近をさまよう。ようやく発見するも、19:00開店。隣のマックで時間をつぶす。

19:00

入口で「子供がいるけど大丈夫?」と聞くと、「もちろん。気にすんなよ(著者訳、というか推測)」というラフな答え。入るとすぐにどでかい薪の釜があり、腹の出た兄ちゃんが手つきよくピッツアを焼いている。みょーに人懐っこい店員がテキパキと対応してくれる。いかにもピッツエリアという感じ。ラフだけど、気が利いていて気持ちがいい。こりゃ料理も期待出来そう。ピノネロのハーフボトル、魚介のマリネサラダ、マルゲリータを注文する。白ワインが、歩き疲れた体に染み渡る。旨い。魚介のサラダもなかなか。海から遠いミラノでもこのくらいのものは出せるんだ。そしてマルゲリータ。うん、旨い。あの兄ちゃんの腹も伊達じゃなかったって事だ。生地はやや厚め。もう少し食えそう、という事で昼間食えなかったポルチーニのリゾットを追加する。これがマジで旨かった!本当に本当にシンプルな味だけど、ポルチーニの食感、チーズの風味、だしの効いた味付け。はぁ〜、これがイタリアの味なんだね。ミラノで旨いリゾットが食えてよかった。デザートにジェラートミスト。これはまぁ普通かな。悪くないけど、びっくりはしない。アキはカフェ。ミラノ初日から旨い店にたどり着けて満足。

21:00

ホテルへも歩いて帰って、疲れきってそのままベットにバタン。風呂は明日の朝にしよう。変なテンションのまま寝る。


10月22日 1日目

 

5:00

ほとんど寝ないで出発の朝を迎える。

朝食は昨日のうちに買っておいたアンパンと缶コーヒー。

6:00

自宅の前から水戸駅までのバスに乗る。荷物は大きめのキャスター付きとバックパック。3人分が詰まっており、とんでもなく重い。途中コンビニで梅のおにぎりを買い、1個ずつ食べる。

7:00

成田までのリムジンバスに乗る。高速で行くのかと思いきや、なんと海沿いの一般道をひたすら走るルートだった。水戸から成田はまっすぐ南だから常磐道より一般道の方が早いようだ。ほとんど信号もないし。

いつの間にか眠っていたらしく、隣でもぞもぞしている音で目が覚める。ぱっと見ると娘がさっき食べたおにぎりを「げー」してる。僕に似て乗り物に弱い。まったく、幸先のいい旅の始まりだ。アキのジーンズが結構汚れ、成田で何か着替えを買おうという事になる。携帯で調べるとユニクロがあるらしい。おそるべしユニクロ。

9:30

成田到着。さっそくユニクロでストレッチのスキニーを買うアキ。履き心地は抜群らしい。大概の日本人がそうするように、出発前に和食を食べる。天丼、たぬきうどんを3人でシェアする。銀行で1万円分を両替。70ユーロになる。レートは¥140/1ユーロ。飛行機のチケットを押さえた8月頃は¥170だったから、随分安い印象。

4:25(ここからイタリア現地時間)

アリタリア航空787便、定刻通りミラノマルペンサ国際空港に向けて離陸。機内は思いのほか快適。

5:30

飲み物が配られ、ビールを頼む。凄く良く冷えていて、旨い。一気に飲んで、次は赤ワイン。ドリンクのサービスはこの2杯だけで、後はセルフサービスのドリンクバーが機内後方にあるとのこと。飛行機でドリンクバー?なんだそりゃ?機内食は牛すね肉の赤ワイン煮込み、トマトのラザニア、生ハム/サラミ/インゲンのマリネ、フルーツ/パン/チーズ/クラッカーと凄いボリューム。どれも機内食にしてはかなり旨い。娘のハンバーグなんて、そこらのファミレスより旨かった。根が単純だからか旅行でハイテンションだからか「あぁ、美食の国に行くんだぁ」とか訳の分からない事をひとりでつぶやく。

 

9:30

機内でおにぎりが配られる。赤ワイン、チーズとクラッカー。チーズが濃厚で旨い。酔いに任せてうとうとするも、となりで娘がもぞもぞするたびに起きてしまう。

16:00

2回目の機内食。今度は軽めで生ハム、サラミ、ポテトサラダ、パン、クリームのケーキ、クラッカー、チーズ、赤ワイン。ハムが旨い。

17:50

日本時間深夜1:50、ようやくミラノに到着。ここからミラノ中央駅まで1時間ほどバスで移動。娘は着陸前から寝ていてアキがだっこ。ちなみに14キロ。既に外は暗く、どことなく不安がよぎる。

18:50

バスを降りて、タクシー乗り場を探す。ちょうど目の前で人が降りたタクシーがいたから乗ろうとすると乗れないという。理由を聞いたがイタリア語で分からない。すると近くにいた男が「TAXI?」と声をかけてくる。「大丈夫、オレに着いてこいよ」と言われ着いて行くとタクシー乗り場が見えた。バスを降りた客で、既に凄い列だ。でも男はそのちょっと先にいる別の男に声をかける。そいつの車は普通の乗用車でどうみてもシロタク。試しに「ホテルセンピオーネまでいくら?」と聞くと15ユーロだという。うん、こいつ明らかにボろうとしてる。諦めてさっきの行列の最後尾に並ぶ。初めての街に夜到着するのはやはりちょっと怖い。

20:30

日本時間午前4:30。ホテル到着。水戸を出てから丸一日。ホテルは一応三ツ星らしい。ダブルに子供用のエキストラベットをつけて一泊99ユーロ。ミラノの相場からするとかなり安い。少し腹が減っていた気がするが、3人ともぐったりで、僕はビール、アキはスプマンテを部屋の冷蔵庫から飲んで、泥のように眠る。


11月9日 曇り/寒い

今日は娘の七五三。実家の両親も来て、水戸の東照宮にご祈祷に行く。シーズンだし、混んでるのかと思いきやぜんぜんガラガラでほぼ貸し切り状態。

最近口が達者になって生意気盛りの娘。自分で選んだお気に入りのピンクの着物(僕は赤が似合うと思ってたんだけどね・・・)を着てご満悦。写真館で着物をレンタルして写真を撮る事も考えたけど、結局気に入った着物を買ってあげて、写真は僕とアキがとる事にした。やっぱり人見知りの娘は写真館じゃ本当の表情は出ない。かしこまったよそ行きの顔じゃなく、僕らに見せるいつもの顔を残しておきたかったのだ。

それにしてもいつの間にこんなに大きくなったんだろ。髪もすっかり伸びて小さい大人みたい。こんな時、父親というものは大体同じ事を考えるんだろうか?

「いつかはこの子も離れていってしまうのだろうか?」と。

ちょっぴり感傷的になる。

 

近くのびっくりドンキーでランチ。本当はビールでも飲みたかったけど、明日、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)と融資のための面接のため、帰って復習。そして再びお金の計算。