2月11日

体調はぎりぎりなんとかなっている感じ。

薬飲んでねよっと。


2月10日 晴れ

ランチは大爆発。天気がよく暖かかったからかもしれないが、次から次へとお客さんが入ってくる。

オープンしてすぐ、アキがスライサーで指を切ってしまう。かなり痛そう。出血もひどい。厨房の中とは本当に危険がいっぱいだ。そもそももうすぐ21世紀の最初の10年が終わろうとしているのに、火と刀(ナイフ)を使って汗水垂らしながらやる仕事なんて料理くらいのものだろう。

ディナー。祝日前にしてはヒマ。よく分からん。

そして、ちょっと風邪をひいたかも。まずいなぁ。


2月9日 曇り

起きると少し腰が痛む。寝違えたか?でもそりゃ首か?よくわからん。

今日はアサリ、ハマグリ(この二つは本当によく使う。特にハマグリ!ウチのお客さんはなんでこんなにハマグリが好きなんだろう?)、イトヨリ、ホタルイカ、車エビ(!)。なかなかの収穫。

予想通りランチはヒマ。

オープン後、シラトリさんが立ち飲みでエスプレッソ。ここのところ立ち飲みとテイクアウトが少しずつ調子を上げて来ている。暖かくなってきたからかな。フジオのコーヒーもすこぶる評判がいい。

13時半。メミちゃん(アキの妹)サプライズ来水。

お昼食べて、早くあがったアキと偕楽園へ。

ディナーは予約が3名様一組。

オープン直後フジオの奇声が聞こえる。

なんと元Dの大沢ちゃん(長いこと僕の下で副料理長をつとめてくれていた)サプライズ来水。しかも、かなりの大荷物。調理道具が入っているらしい。訳を聞くとなんと明日、テレビ番組で某大物タレントと一緒に料理をつくるらしい(笑)さすが、うつわが違う。

そしてご予約のお客様が来店?と思いきや、これまた元Dのパティとオリエさん。なんとサプライズの為に偽名で予約してきたらしい。何てやつ!そこまでしてびっくりさせたいのか!びっくりしちゃったじゃないか!フジオも全員と働いていたからさながら同窓会。しかもパティは水郡線(水戸〜郡山線という超ローカル線)3時間を含む計4時間以上も電車に揺られて来てくれたそう。

そして19時半。元ペパのたっちんサプライズ来水。しかも気づいたら店の中にいて、常連を装って立ち飲みしてた。なんなんだ?今日は。

店内は終始満席。凄い活気でこれぞトラットリアって感じのいい雰囲気。

女子3人もたっちんも店の近くにホテルをとって来てくれたそう。なんというか、なんとも言えない。うれしい。


2月8日 晴れ

なかなか起きられない。体はガタガタ、頭はボー。コーヒーをいれてようやく少しネジが巻かれる。

お昼はblackbirdのご近所さん「cafe PICO」で。オーナーのオミネさん、今日も凄く素敵。

 

芸術館で「ツェ・スーメイ展」。

僕は評論家じゃないので上手く表現出来ないけど、まず感じたのは「分かりやすさ、ポップさ」。現代美術につきまとう難解さをひょいっと飛び越すセンスはさすがだなぁ。特に展示の一番最後、今回のポスターにもなっている「エコー」という作品は僕が彼女から感じていたイメージそのもの。力強く、音楽的でウィットに富んでいて、でも包み込まれるような感じがする。

こんな作品を創っている合間に店に来てくれていたのかと思うとやっぱりちょっと感慨深くなる。

沢山の人に見てもらいたいと、心からそう思う。


2月7日 晴れ

眠い。ギリギリまで寝て、起きて着替えてすぐに市場へ。

今日の仕入れはいつものアサリ、ハマグリ、イトヨリ。

店に入る前に隣の木村屋さんでパンを2個(クリームパンと何か)買う。フレンチプレスでいれたコーヒーを飲みながら少しずつネジを巻いていく。仕込み、予約の再確認。BGMは昨日に引き続きブラー。鼻歌と口笛。

そう。いつになく緊張/高揚している。

今日は夕方にスーメイのレセプションに行くのだ。

ランチも明らかに芸術館目当てで来た感じのお客さんが多数。

とにかく急いで仕込みを終わらせて、15時半に出発。

気づくとアキもフジオもちょっとオシャレしている。アキはトレンチコート。フジオは中に白シャツを着ている。

「ぬまっさん、そのジーンズボロ過ぎません?レセプションですよ」

とフジオに突っ込まれるが気にしない。モッズコート、穴の開いたジーンズ(昔バイクでこけた)、ワークブーツの32歳。なんかこんな時こそロック魂がむくむくと湧き出てしまう。

 

会場に入ると想像よりもずっとフォーマル。クロスのかかった丸テーブルにワイン/ビール/ジュースが並んで、料理もたくさん出ている。招待客は全部で100人くらいだろうか。座ってちょっとするとスーメイが入って来て、こっちに気づいて駆け寄って来てくれる。

「来てくれたんだ〜!うれしいなぁ。CD聴いたよ!凄く気に入ったわ。We have same taste!ああいうのが好きなら私もあげたい音がたくさんあるんだけど、今はちょっと忙しいから、後で送るね」

僕らはぽか〜んとして開いた口が塞がらない。後で送るね?って送ってくれるの!

レセプションが始まり、厳かな雰囲気で式は進む中、現代美術家奈良美智氏の描く絵にそっくりなウチの娘は、なっちぃを食べながら床を這いずり回るというなかなかパンクでカオスな状況を演出し、皆様の失笑と賞賛を独り占めにしようとしている。そしてスーメイの挨拶。

「今日はこんなにたくさんの方に来ていただいて・・・。(中略)」

そして突然

「blackbirdのみんな、来てくれてありがとう。そして美味しいコーヒーとパスタもありがとう!」

と言ってくれる。

・・・。

僕らは声も出ない。

歓談になってスーメイにさよならを言いにいくと

「そうだ、ヨーロッパに来たらウチにおいでよ。ヨーロッパに来る予定はある?」

アキ「年に1度はがんばってイタリアに行きたいと思ってるけど・・・」

スーメイ「じゃあルクセンブルクを拠点にして、パリでもミラノでもアムスでも行けばいいじゃない。ゲストルームもあるし、猫も飼ってるからお嬢ちゃんも飽きずにいられると思うよ。」

・・・。もらった名刺にはルクセンブルクでの住所と連絡先、メールアドレスが書いてる。ふぅ〜、本気じゃん。本気で遊びにこいってことじゃん。

 

僕とフジオはディナーの準備のため店に帰る。が、ぽぉっとして仕事が進まない。なんなんだろう。何が起きているんだろう。

 

夜はヒマだけど、レセプション帰りのお客様がちらほら寄っていってくれたようだ。

ラストオーダー後、普段ならパスタ茹で用のお湯を捨ててしまうところだけど、もしかしたらスーメイ達がお腹をすかして入ってくるかもしれないと思い、少し待ってみる。

僕はギリギリまでお湯を捨てずに待つ。

スーメイは明日、東京に行ってしまう。 

 

お湯を捨てられない日々も終わる。


2月6日

ランチはヒマ。BGMはローリングストーンズ。20歳とかの若い頃に理解出来なかったストーンズの魅力が、30歳を回ったくらいからじわじわときている。ロックというより、R&B/SOUL。黒人のタイトなリズムではなく、ベタっとした白人のロックのリズムが不器用でイイ。

ディナー。予約が3組、計13名様。

オープンしてすぐ、スーメイ達がまた来てくれる。明日はレセプションだし、明後日には東京に行ってしまうから、今日が最後のご来店。フジオのラテアートに歓声をあげ、携帯で写真に収めている。店のBGMに合わせて指先でコツコツとリズムをとっている。リラックスした表情を見ると、こっちまでうれしくなる。

帰りがけ、約束通り明日のレセプションの招待状をプレゼントしてくれる。僕は緊張してレジを間違えたり、英語が全く出てこなかったり、ひどい有様。blackbirdからもプレゼントを渡す。スタッフが来ているオリジナルTシャツ。そして日本の音楽代表として「LONGSEASON/FISHMANS」のCD(完全に僕の趣味。でも彼女がこれを聴いて何を感じるかにもの凄く興味がある)。凄く喜んでくれる。いやいや、こちらこそ。

というわけで、明日2月7日は16:00〜17:30でスーメイのレセプションにお邪魔するため、ディナーの開始時間18:00になります。

ご迷惑をおかけしますが、ご理解お願い致します。

その後は尋常じゃない忙しさ。

閉店後、山のような皿を洗いながらフジオと「今年のフジロック、誰が来て欲しいかベスト3!」で盛り上がる。

ちなみにフジオは

ブラー、ダフトパンク、レディオヘッド

僕は

ポールマッカートニー(死ぬまでに生blackbirdを聴きたい)、シガーロス、レディオヘッド

そして、フジオにいかにブラーがかっこいいかを教わる。僕は完全にオアシス派で、ブラーはほぼスルーしていた。よく聴くとおバカでなかなかカッコイイ。

そして一気に片付けは終わる。ふざけているんだか、なんだか分からない店。

blackbird。

 

帰ってメールをチェックすると、例のブルータスのblogに共感して下さった方からメールが来ている。


2月5日 曇り/肌寒い

寝不足。でもどうしても書いておきたかった。

朝、PCにシラトリさんから励ましのメールが来ている。今はじっと耐えるときだよと。ちょっと涙が出る。

 

ランチ。最近店内着席スーペースでタバコが吸えないことで帰ってしまうお客様がぽつぽついらっしゃる。「提携の駐車場」がないことで帰ってしまうお客様も。でも仕方がない。もっと魅力的な店にして、それでも食べに来たいと思っていただけるよう努力しよう。駐車場に関してはそりゃないよりあった方がいいけど、それをしちゃうと立ち飲みを安く出来なくなる。

テイクアウトと立ち飲みがかなり賑わってきている。少しずつ温かくなってきたというのもあるんだろうけど、かなり浸透してきているなと思う。

 

「ちょっと書きすぎたかな。自分こそ何様だ!」という思いが消えない。

あんな書き方したらきっともうブルータスに取材されることはないんだろうな。でも実際問題載りたいかと言われたら答えは

「NO!」

これはブルータスに限らず、いわゆるコンビニに並ぶような一般紙から取材の依頼があっても(ないのに書くのは馬鹿みたいですが、許しを:笑)お断りすると思う。理由は

「今応援して下さっているお客さま/常連さんに迷惑がかかるから」

ただそれだけ。でもそれって僕たちみたいな店にとっては何よりも大切なこと。確かに雑誌の力は大きい。いろいろな店で働いてきて、その力の大きさを良く知っているからこそ、blackbirdはその力を使わずにやっていきたいと思う。でも「料理通信」「料理王国」なんかの専門誌には載ってみたいな。読者の層がはっきりしているし、部数も限られているだろうから。そのためにはもっともっと努力が必要なんだけどね。


2月7日(土)は、都合により(詳しくは後日ブログで…)
ディナーの営業を18時からとさせていただきます。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

trattoria blackbird 一同


2月4日 晴れ

ランチタイム終盤、スーメイ達が来てくれる。

「いつもありがとう」と声をかけると、スーメイは

「I need coffee everyday」

だって!

 

そして、トイレに貼った今回の企画展のポスターにサインをお願いする。

「This is our favorite place in Mito and the best coffee

Feb 2009」

宝物がまたひとつ増えた。


BRUTUS 656号「みんなで農業。」の巻頭特集を読んで感じた寒々しさについてずっと考えている。

BRUTUSが農業特集をすると最初に聞いた時嫌な予感がした。でもそこはBRUTUS 。独自の切り口で面白いことしてくれるんだろうという期待をもったのも事実。

僕が感じたことを一言でいうとこうだ。

「佐藤可士和とBRUTUSが組んで農業特集をすれば『ダサイ農業』もこんなにスタイリッシュになるんですよ」

表紙では「佐藤可士和さんの最新作はコレです!!」と矢印が指す先には白菜がある。
「土の温かい感触は、僕のクリエイティブの源です。」
だそうだ。
そして野菜を作るうちに
「スーパーの野菜だと物足りなくなりました」
さらに
「呼び名も考えた方がいいかな。(中略)”アグリライフ”とか”ファーマー”とか、そういう言葉を積極的に使うのもひとつの方法かも」
本気なんだろうか?

自分の手は汚さず、借りてきた畑(本来的な意味でも、抽象的な意味でも)で人任せの管理で出来上がった「安心安全な作物」。

例えばこれが「囲碁」とか「乗馬」とかならこんなにムキにならないだろう(ファンの方がいらしたらすみません)。でもここで扱われているのは農業だ。そもそもBRUTUSから見た日本の農業の特集の巻頭特集がなぜこの佐藤氏なんだろう。他に取り上げるべき人材はいないのだろうか?例えば年に1回くらい見かけるワインの特集の表紙と巻頭特集に川島なおみや江川卓が登場するか?

ハッキリ言って、農業はナメられている。

BRUTUSは農業を、そして読者をナメている。

アグリライフ?ファーマー?

なにそれ?

そうやってまた流行を作り出し、消費していこうというのだろうか。

 

だったら、僕は降りる。

 

もう僕らはいい加減学んでもいいはずだ。

 

「いや、そもそもBRUTUSはエンターテイメント雑誌。そんなにムキにならなくても・・」

僕がなんでこんなにムキになっているのか?

その次のページに僕が以前関わっていたD&FARMがでているからだ。

僕はほんの数ヶ月前まで、2ヶ月に1度ほどこのFARMに行き、農作業をした。管理をしているナガオカさんのご両親とナガオカさんが、どれほど苦労してここまで整備したかを曲がりなりにも知っている。身銭を切って、痛い思いをして彼らはその地で今日も踏ん張っている。要は人ごとではないのだ。

いつでも止められる環境で、なんのリスクも犯さず、自分だけは安全な場所から文句をいうのがどうしても我慢出来ない。そして「有機/無農薬農法」を絶対的な善として従来の「慣行農法」を悪とする分かりやすい図式にも同じことが言える。トップクリエーターなら、プロとして、違うやり方で、農業を面白くすることが絶対に出来るはずだ。

 

以下の文章は「久松農園」久松達央さんのとある雑誌のインタビューの抜粋である。

「僕も(農業を)始める前は、農薬は危険なものと思っていましたが、今の農薬は使い方を間違えなければ、決して危険なものではないんです。僕が有機農法でやろうと思ったのは、安心安全だからというよりむしろ、その方が美味しいと実感したから。農業に新規参入するなら、差別化できる野菜をつくる必要がある。でも、有機でやるっていうと『お前儲からないぞ』って言うんです。本当にそうなのかな?と、メラメラしてしまったわけです」

(中略)

その技術力を上げるため、久松さんが指導を仰ぐのは有機農家のスペシャリストではなく、慣行農家(従来の農薬を使用する農家)のスペシャリストだ。

「彼らにこそ、学ぶべき点が多いです。日本の食料自給率は自分達が支えているという気概のある人たちはプロ意識が高い。また数をこなしているから技術がある。有機農法が絶対正しい、ではなく、今後自分が慣行農業をやるかもしれないという可能性を1%残して切磋琢磨していけば、もっといい野菜がたくさんできると思うんです」(料理通信2008年7月号より抜粋)

大切なことはなにか?

最低限対象に敬意を払い続けることだと思う。