1月17日 晴れ

昼から結構忙しい。ランチは僕、フジオ、アキの3人で回しているんだけど、さすがに息も合ってきて以前ならバタバタしていた状況でもスムーズにまわるようになってきた。

夜も忙しい。半分以上が常連さん。1月は売上的にかなり厳しいが、こうしてご予約して来ていただける常連さんでなんとかやっていけそうな感じだ。スタッフ間で共有している顧客ノートも結構埋まってきている。ヒマな日が多いからこそ、来ていただけるお客様によりよいサービスをしていきたい。

1ヶ月やってみてお客様からの要望で多いもの。

「ピッツァはないの?」
「リゾットとかピラフとかお米のものはないの?」
「肉料理はないの?」
「ワインの種類を増やして欲しい。グラスワインも何種類もあるとうれしい・・・」

それに関して、僕からの答えを。

僕は「料理人」として見ればそんなに凄いキャリアを積んできた訳ではない。10年以上現場で働いては来たが、料理学校を卒業したでもなく、イタリアで修行してきたわけでもなく、都内の高級リストランテで働いてきたわけでもない。そんな中で、果たして自分になにが出来るのか?どこで「blackbirdらしさ」を出していけばいいのかを考えた時のキーワードが、

「魚介、野菜、パスタ、エスプレッソ」

だった。「パスタのみ(いわゆるご飯ものをおかない)」「魚介と野菜のみ(肉料理をやらない)」という限定された中で自分の力を最大限に発揮させて戦っていけば、そんな僕でもなんとかなるんじゃないかと思ったのだ。

そしてその考えは今のところ正しかったように思う。

「リゾット?ピッツァ?そんなの食べたきゃそれぞれ専門店に行ってくれ!」くらいの気持ちでやっていこうと。フジオもコーヒーに関してはかなり専門的なことを勉強してきたが、ワインやお酒に関しては基本的な部分は押さえているけどそれ以上の知識はまだまだ。でも、水戸にも美味しいワインをたくさん扱っているワインバーや、リストランテは何件もある。美味しいリゾットやピッツアが食べられる店もたくさんあるだろう。

結局、一人の人間が本気でやれることなんて限られている。

しかも僕の店は最大3人で回していかなきゃならない上にほぼすべてを自分たちの手で手作りする小さな店だ。やれることには限りがあり、でも最大限美味しいものを提供していきたい。

ワイン(肉料理)に無理矢理力を入れてコーヒー(魚/野菜料理)の色が薄くなるくらいなら、とことんコーヒー(魚/野菜料理)に力を入れていこう。もちろん、ワインに関しても日々勉強していくし、全く何もしないというわけではない。

出来ないことをあれこれ考えるより、出来ることに力を注いでいこう。

そしてblackbirdを応援してくれるお客様に素敵な時間を過ごしていただけるように最大限の努力を続けよう。

※ここまで書いていてなんなんですが、昨日から「和牛ほほ肉のラグー 手打ちのフェットチーネ」が黒板で始まりました。blackbird初の本格的煮込み料理です。ひょんなことから入荷した和牛のほほ肉をたっぷりの赤ワインとソフリット(タマネギ、ニンジン、セロリをじっくりと炒めたもの)とホールトマトでじっくり煮込みました。はっきり言ってかなりの自信作で、既にグランドメニュー候補。黒板に載せてない時でも「ブログ見たんですけどあります?」と言っていただければあるかもしれません。

いや、肉も好きなんですよ。本当は。

1月16日 晴れ

市場で買ったもの。ソイ3尾、アサリ、ハマグリ、ヤナギガレイ、ヤリイカ、アジ、生の白魚。

白魚はこれからが季節。イタリアンオムレツの具にぴったり。ソイは30センチ弱の柔らかく癖の無い白身魚。昨夜の黒板で香草焼きにして出したら好評だった。シンプルに美味しい塩とオリーブオイル、レモンで。

ランチは、そこそこ。思い立って席の配置を少しいじったら調子がいい。僕らみたいな個人店にはそういうフットワークの軽さが絶対的に必要だ。いいと思ったらすぐに実行する。実はこの1カ月の間にグランドメニューも何度もマイナーチェンジを繰り返している。

相変わらず、休憩は取れず。体力的にもかなり限界に近い。なんとかしないと。オープン直後ならいざ知らず、                                                                                                 これからは長く続けていけるような方向に徐々にシフトしていかなければ。もう瞬発力と火事場の馬鹿力だけじゃやっていけないのだ。

12月31日 晴れ

ここ何日か、ブログを見て来ましたというお客様が多い。特に東京方面から「ナガオカ日記」を見てというD&Dファンの方も多数いらっしゃる。ありがたい。

大晦日の夜は大賑わい。東京から元同僚でD&DEPARTMENT DININGパティシエのユガっち(ひたちなか市出身)が帰省がてらご両親と彼女のツルちゃんと一緒に来てくれる。他にも近くでマッサージを開業しているしらとりさん、ご近所で素敵な服屋を経営しているKIVASさん、芸術館ヤマモトさん等、今年お世話になった人たちがたくさん来てくれる。

店も忙しいけど程よく回り、一年の締めくくりにふさわしい夜に。

全部片付いたのは日付も変わった1時すぎ。ちょっと休もうと思ってベンチシートに座ったら少し寝てしまう。

それにしても本当に怒濤の日々だったなぁ。

これ以上ない最高の形で最初の一歩が踏み出せたことに感謝。

スタッフ募集

trattoria blackbirdで一緒に働いてくれるスタッフを募集します。

条件は

「trattoria blackbirdで食事をしたことのある人」

人と接するのが好きで、飲食業を一生の仕事にしたいと思う人。独立を希望し、それに向かって努力を重ねることが出来る人の応募を待っています。

仔細は面接時にお話しします。

まずはcontactからメールを下さい。

たくさんのご応募、お待ちしております。

trattoria blackbird chef 沼田 健一

12月26日

ランチ、客数41名。

ディナー客数29名。

とにかく、忙しい。予約でいっぱいで、ランチ/ディナー共満席で入店をお断りしたお客様数名。申し訳ない。

店はぎりぎりまわる感じ。でも働いていて悪くない。手応えもある。

口コミ、そしてブログとは凄いものだ。

「最初はバタバタするからあまり宣伝もせずに静かに始めよう」と言っていたのに全く持って目論見が外れている。うれしい悲鳴。

早いところスタッフを増やさないと。僕もフジオもアキも体力的には常にギリギリだ。

12月18日

朝、市場にエビがいない。

普段は申(サル)エビという近海で捕れる小さめだけど殻ごと食べられてうまみたっぷりのエビを仕入れていたが、どうやら今日はないらしい。いつもの兄ちゃんに「エビ、いいの無いっすか?」と聞いたら出てきた、凄いのが。

活車エビ。一箱、63匹入り。値段は破格(の安さ)。どうやらスポットで少量入ってきたものらしい。2秒くらい迷うが、うにょうにょ動いているエビがあまりにも美味そうで買ってしまう。そう、エビに目がないのだ。そしてシーフードトラットリアの名にかけて、新鮮で美味しい魚介を仕入れるのが僕の一番大切な仕事なのだ。ロスになったら全部食ってやる!保存方法等、詳しく聞くと涼しい場所なら3日くらい生きているらしい。よし!土曜日までエビフェアだ!

昼はヒマ。ちょうど1回転くらいかな。

ディナー前に例の車エビで「トマトクリームソース」を作る。・・・美味い!美味い!これだから料理人はやめられない。一緒に買ってきたイトヨリのズッパディペシェ(魚介とトマトで煮込んだスープ)も最高!

馬鹿げた話に聞こえるかもしれないけど、最近自分自身料理が上手くなったなと思う。お客さんの反応を見ていても分かるけど、自分の実力以上の皿が作れているのがハッキリ分かる。

なぜか?

素材に依存しているから。

僕の作る料理は本当の本当に馬鹿みたいにシンプルだ。オイルとニンニク、ペペロンチーノ、アンチョビ、白ワイン、タプナード、少しのハーブ、パルミジャーノレッジャーノ、最後に塩。徹底的に何もしない。仕込みもほとんどしない(というか時間的に出来ない)。ちょうどいいアラや中骨がない日はブロード(出汁)すら取らない日もある(そんな日はアサリに活躍してもらう)。魚も鱗と内蔵を取って煮っぱなし、焼きっぱなし。野菜も同様。久松さんの野菜は有機だから皮すら剥かないものもある。適当に切ってそれぞれの野菜ごとに適切に火入れする。オーブンは常に低温。入れっぱなしで30分とか1時間とか平気で入れておく。水分を少しずつ飛ばして、うまみを凝縮させる。毎日6〜8種類の前菜を仕込んでいるけど、ほとんどが焼きっぱなしの野菜。手前味噌になってしまうけど、それが実に美味いのだ。そしてお客様の反応もとてもいい。美味しい素材は始めから美味しいから、徹底的に料理しない。引き出してあげればいい。

ディナーのオープンと同時に一組のカップルがバンコ(立ち飲み)に。

「カプチーノ。クマちゃんで」
「クマちゃんで?(笑)」

なんで知ってるのか聞いてみたらどうやらブログを読んでくれているらしい。お客様で、ブログを読んでくれている方が本当にたくさんいらっしゃることに驚く。アクセス数もオープン以来激増。いろいろな方が紹介してくださっているおかげだろう。みんな「キミがフジオね」みたいな感じだし。そして、info@blackbird-mito.comにも全く知らない方からブログの感想のメールがたくさん届く。ブログってなんなんだろう。最近は眠くてきちんと書けないことが多いけど、がんばって書かなきゃな。

7時頃、高校の同級生が奥さんと一緒に突然やってくる。「あれっ?なにしてんの?」どうやら、常連第一号のツバキさんから聞いたらしい。そしてびっくりすることに市内で4年半前から「そばまさ」というそば屋をやっているというのだ。絶対食いにいこ。来てくれてありがとね。

7時半、前日にメールで予約をしていただいた方のご来店。blackbirdも一丁前に予約が入るようになった。そして日々売上的には惨敗だが、ファンになってくれそうな人が冗談抜きで毎日来てくれている。ありがたい。

12月16日 晴れ

ランチはそこそこ。予想外に¥900のパスタセットより¥1200のスペシャルランチセットの方がよくでる。盛り合わせの前菜、フォカッチャ、パスタ、デザート盛り合わせ、コーヒー/紅茶で¥1200はウチとしてはかなりがんばった値付け。でもやってみてよかったかも。そしてウチの魅力がはっきりと分かるセットでもある。平日の昼なのにグラスワインと一緒に楽しんでいる人もちらほら。

アイドルタイムに少し寝る。これも初めてのこと。暇というのもあるが、仕込みがだいぶ落ち着いて来た。仕入れの精度もずいぶんと上がってきた。本日のパスタでD&D SAPPOROとpippinさんからいただいたユリ根を使ってみる。ほくほくして実に旨い。

 

ディナーにD&Dショップスタッフの長島さん来水。水戸の大学に行っているお兄さんと一緒に来てくれる。自分で店を始めてからというもの誰か知り合いが来てくれるとご主人様が帰ってきた犬よろしく「きゃっきゃきゃっきゃ」してしまう。本当にありがたいしうれしい。

19時以降、お客さんがぱらぱらと来てくれる。しかもバンコで立ち飲み&前菜5種盛り。みんな使い方を良く知っていてうれしい。オープン前は「立ち飲みする人なんて本当にいるんだろうか?」と気に病んでいたけど、そんなのは全然杞憂だったらしい。僕が寂しく思うくらいバンコが賑わい、フジオが大活躍である。

売上的にはまだまだだけど、これからの兆しがちょっと見えてきたたようだ。

 

本日の手打ちパスタ・・・カワハギとユリ根、フレッシュトマトのフェトチーネ

本日の魚料理・・・イシモチとジャガイモのハーブグリル。

12月15日 晴れだが寒い。初霜らしい。

7時前に起きてすぐ市場へ。寒い。

買ったもの

イシモチ、カワハギ、蛤、ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッっっっっっっっっっッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッっッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッっっっッッッッッッッッッッっっっっっっ

trattoria blackbird

 

↑これ、何か分かります?

ゆうべの書きかけのブログ(笑)

毎日こんなん。ほぼ寝ながら書いてる。

 

 

では、気を取り直して・・・

 

「torattoria blackbird毎日大盛況です!」

 

と書きたいところだけど、やっぱりそうは問屋が下ろさない。オープンしたての店だから当然と言えば当然なんだけど、やっぱり店が暇ってのは嫌なもの。しかもD&Dが凄く忙しい店だったから暇なのに慣れてないっていうのもある。果たしてこんなんで上手くいくんだろうか?

フジオには「大丈夫ですよ、最初はこんなものですよ」と言われるが、初日二日目が忙しかったから土曜と今日が暇なのはやっぱり気になる。

ただ、暇さを利用して店はずいぶん整備されてきた。そして、今日からアキがランチのピークまで入ることになる。明日からフジオの入りも少し遅らせてあげられる。

 

本日の手打ちパスタ・・・ゴルゴンゾーラのクリームソース フェトチーネ

本日の魚料理・・・イシモチのアクアパッツア

物件探し6日目。朝から雨。
明け方4時ごろ、目が覚めてしまう。やはり軽く興奮しているようだ。グループの掲示板を覗くといくつか書き込みがあり、寝ぼけながらも返信する。そのまま再び浅い眠りに。
8時頃起きると姉と甥が遊んでいる。甥はすっかり僕に慣れてきて、なにかっつーと「あーくん、すごいね~」と褒めてもらいたがる。かわいい。姉とお金のことや仕事のことなど現実的な世間話をしばらくする。
11時着のスーパー日立で岩松さんが到着する。水戸までノンストップでくるやつで上野からジャスト1時間。改札から手を振るとすぐに気づいてくれる。
「電車から見たら近くの湖(千波湖)の周りがオランダみたいだったよ!」
さすが、言うことが違う。
今日のポイントはこの一点。
「自分が感じた確信を岩松さんにも感じてもらえるか。」
歩きながらこの街に関して僕が感じたことをひとつずつ説明していく。
雨のためか普段より人通りが少ない。いろいろな通りを歩きながら芸術館まで行き、候補に挙がっていた4つの物件を外から見て回る。物件4の立地のよさに驚いている。その間1時間。狭い街なのだ。
約束まで1時間あったので和食屋でお昼に。食べながら昨日書いた手書きの図面を見てもらう。
不動産屋へ。担当のKさんの茨城弁を堪能してもらいながら(初めて会った気がしない:岩松談)、物件3へ。「DDDをやるならここがいいよね」との感想。そう、広いのだ。僕の理想は狭くても活気がある店。立地もやや奥まった場所にあり、わざわざ来る系。一応採寸だけしておく。
続いて物件4へ。岩松さんは冷静に電気は何ボルトが来ているのか、ガスはプロパンか都市ガスか、水道は、ダクトは、照明は等々、Kさんに質問している。採寸も手際よく進め、僕が書いた図面と照らし合わせていけるかどうかのチェックをしている。
「どう思います?」
「いや、大きな問題もなさそうだし理想としている店をやるならここしかないんじゃない。」
とのこと。やった!
担当のKさんに家賃をもう少し何とかできないか聞いてみる。
「う~ん、たぶんもう少しならいけると思いますよ。」
「よろしくお願いします!」
Kさんと別れ、ミーティングをするために近くのカフェへ。実際に採寸した寸法に僕の手書きのレイアウトにある ベンチシート・テーブル・通路・厨房器機の寸法を入れて いくとすべてがぴったりはまる。 二人で鳥肌が立つ。ずっと頭に思い描いてきた店がそっくりそのまま再現されるのだ。やりたいことがはっきりしているから店のつくりは極限までシンプルにできる。厨房機器も中古(新古)品をうまく使えば安く上がりそうだ。ダクトやグリストラップ等、設備を新設する上でも問題は少なそう。 工務店はヒロさんがいい人を知っているって言ってたから紹介してもらおう。
今後の流れと僕が何をしていけばいいのかを打ち合わせする。なにぶん初めての店作りで分からないことだらけだ。岩松さんが頼もしく思える。ありがたい。
当初、できるだけ手作りの店にしようと考えていたが、最後の仕上げの部分だけ自分たちでやり、基本的な部分はしっかり業者に頼んで作ってもらうことに。手作り感いっぱいのカフェではなく、ハードな営業にも耐えられるような店にするためだ。大げさではなく、20年、30年、ここで料理をするのだから。
今後の流れはこんな感じになる。
図面完成/工務店に見積り依頼     2週間後
見積りチェック/工事発注          4週間後
工事                      10月頭~11月頭
プレオープン、レセプション、オープン     11月最終週
同時進行で
厨房機器、イス、テーブル、什器(皿、カトラリー等)の選定/買い付け
店内の装飾
メニュー/オペレーション開発
芸術館へジュリアンオピー展を見に行くという岩松さんを見送り、ブログの更新をするためにネットカフェへ。
さて、やることいっぱいだ。
忙しくなるなぁ。

物件探し5日目。ようやく晴れたが、すごく涼しい。

退職してまだ1週間しか経っていないなんて信じられない。いろいろあったがここまでは上手くいきすぎなほど順調だ。

朝9時に市の生涯学習センターに行く。1時間¥110でネットできるというのだ。回線が遅く、しかもGmailがチャット扱いになってしまい使えない。仕方なくブログの更新だけして1時間で出る。まあ、使えるだけましか。

途中、水戸市公設卸売市場に寄ってみる。魚は那珂湊に買い付けに行くのは決めているが、野菜をどこで仕入れるかはまだ決まっていない。がらんとしているので入り口のおじさんに聞いてみると残念ながら今日は休市日らしい。
「個人で小さなレストランをやろうと思っているんだけど、買いに来ることは可能か?」と聞くといろいろ教えてくれる。茨城の人はみんな親切だ。親切で、保守的。また来てみよう。

水戸までの道のり、カーステレオからボブディランの「I want you」が流れている。晴れて澄んだ空気の中聴いているとここがどこだか分からなくなる。僕にとって車とは音楽を聴くための場所だ。40年以上前の曲なのになんでこんなに素敵なんだろう?僕はジャンルレスで何でも聴くが、ストライクゾーンは結構狭い。最近の曲はあまり知らないので、ダイニングのユガっちにいつも教えてもらっていた。ユガっちとはかなりストライクゾーンが近く、彼が新しいの担当、僕が古いの担当で1年くらいかけてお互いのコレクションをほぼ全部貸し借りしたことがある(僕はトータル200枚くらい持ってきた)。
余談な上にお恥ずかしい話だが、10代のころミュージシャンになりたいと結構本気で思っていた。20代の頃は音楽ライターになりたいと思い、ロッキングオンに投稿したこともある(フィッシュマンズのロングシーズンに関するレヴュー。もちろんボツ)。何が言いたいかというと「音楽と関わりがある仕事に就きたい」とずっと思っていたということだ。そしてすべての夢に破れ、僕が考えたことは・・・

「自分で店をやれば一日中好きな音楽を聴きながら仕事が出来る!」

なんて浅はかな・・・。

もっと余談だが、なんでどこも有線なんだろう?これを書いているネットカフェもずーっと同じ曲がぐるぐるぐるぐる。北京オリンピックのテーマソングが多くて本当にうんざりする。

昼前に水戸に着き千波湖畔をぐるっと歩いて市街地へ。本当に気持ちがいい。この裏手に住むことができるなんて。楓の成長にはすごくいいんだろうな。

とにかく街を歩く。路地という路地をくまなく歩いているうちにずいぶん街の地理が分かるようになってきた。人の流れも。
芸術館の近くのカジュアルなイタリアンベースのカフェでランチすることに。料理はそこそこ。パスタがちょっと薄味かな。水戸の人は薄味なのかも。内装もシックで好みだが・・・、

12時半に入って13時半に出るまで客は僕ひとり!。

う~ん、裏通りだからだろうか?夜はもっと入ってるんだろうか?これでやっていけるんだろうか?とこっちが心配になってくる。
店を出て、試しに二日前に食べに行った「世界一のパスタランチ」の店を覗いてみると14時前だというのに7割くらい埋まっている。さすが世界一。200gまで無料はダテじゃない。そこは裏通りだがビジネス街の近くで周りにも競合店がいくつかあるにも関わらずだ。
物件選びは本当に一歩間違えるととんでもないことになるかも。奥まった場所に出店するにはその欠点をカバーできるくらいの何かがないとだめだろうな。「もう一度来たいな」と思ってもらえる努力をしないと。

やや歩きつかれたので、芸術館の芝生の上で休んでいると、無性に「ジュリアン・オピー展」を見たくなる。芸術館の中に入るのも久しぶりだし、当日券を買って見ることにする。
展示がある2階に上がるととんでもなくでかい作品が目に留まる。どうやって運んだんだろう?美術館特有のひんやりした空気がとても心地いい。天井から漏れる自然光も。「フランスの風景」という作品の前で足が止まる。なんて素敵なんだろう。後ろで流れているギターのアルペジオも作品にぴったりで心に響く。店に置きたい。いくらするんだろう?高いよな。ブラーのジャケットくらいでしか知らなかったが大好きになった。

水戸で店をやろうと思ったときにまず浮かんだのが芸術館の存在だった。4月に最初の視察に来たときも「やっぱり間違っていなかった。ここの周りで店をやろう。」という思いは深まるばかり。車での移動が主流で、どんなに郊外に人が流れていようと、やっぱり自分は「文化」の一員でありたいと思う。感性や感動する心を大切に生きていたいと思う。
郊外のショッピングモールに文化はない。あるのは消費だけだ。消費と有線から流れるJ-POPとパチンコとファミレスで満足していいはずがない。自分が店をやることで、少しでもそんなことに気づく人が増えてくれればなと思う。
「海辺のカフカ」でホシノさんが気づいたように。えらそうなことを言うようだが、本気でそう思う。

のどが渇いたのであらかじめチェックしていたカフェに入る。カリモクのロビーチェアがあって、ゆったりしていてダイニングを思い出す。カフェラテもおいしい。でもお客さんはいない。裏通りのビルの3階。
物件その4を借りることを前提にした開業計画書の作成に着手する。東京を出る前に買っておいた「飲食店完全バイブル」という本を片手に売上目標、投資額上限、席数、客単価等々、試算していく。なんとか成立しそうだ。明日、岩松さんとスムーズに打ち合わせできるようにノートに図面を書いて、どこに何を配置するかも考える。楽しい。

止めていた駐車場が17時で閉まるというので車を取りに行く。途中橋の上から空を見ると虹が出ている。祝福された気分。そのまま遠回りをして郊外を一周して帰ることに。途中でかい古着屋を見つけたから入ってみると、ワゴンにカートコバーンみたいなボーダーのロングスリーブTシャツが。¥315。迷わず買う。僕が服を買うときの基準はシンプルだ。まず安いこと。あとは「これはジョンみたい」「リアムみたいなコート」「マークボラン!」「ヒロト!!」とかそんなの。15年くらいそんな感じ。

明日は運命の一日。

いい風が吹きますように。