昼前に県南の土浦で有機野菜を作っている久松農園から野菜が届く。前々から店で使いたいと思っていて、今回初めてサンプルを送ってもらったのだ。

かぶ、春菊、みさきキャベツ、人参、大根、チンゲンサイ
、ターサイ、なす、小松菜、ピーマン、ジャガイモ、玉ねぎ、ラディッシュ、にんにく

ハコを開けると計14種類の野菜がぎっしり入っていて、一気にテンションが上がる。本当に美味しそう。

『当店では契約農家から野菜を直接仕入れているため、安心安全です・・・』

もう、そんな事は聞き飽きたし、今時ファミレスでもやっている。「安心/安全」なのは確かに大切な事だと思うが、blackbirdではなによりまず美味しい事にこだわりたい。説明抜き、蒸しただけでみんなびっくりしちゃうような野菜をじっくり時間をかけて探していきたい。でも魚介も野菜もきちんと選びさえすれば普通にスーパーで買っても美味しい。地方でやるメリットはそこにあると思う。

12時に設計の岩松さんが水戸駅に着く。まず近くのカフェでお昼を食べながらのミーティング。以下今日決める事。

・工務店選択(2社から1社へ)

・見積りのチェック/減額案出し

・ベンチシートの張り地選び

・キッチン壁のタイルの色選び

・客席上の荷棚用板選び

工務店選びに関しては見積りの金額とプレゼンの総合力でぱっと決まる。一番心配していた工事費も、大きな妥協も無くなんとか予算内に収まりそう。ずっとそこを心配していたからひと安心。

岩松さんが持ってきてくれたサンプルを見ながら少しずつ細かい打ち合わせが始まる。ベンチシートの色は赤、タイルは白と緑で、イタリアの色。でも同じ赤でも何種類もあって、他の素材とのバランスを見ながらでないと決められないが、店の完成図がはっきり見えているので迷わず決まっていく。そしてベンチシートの上の荷物置き用の棚には、工事現場用の足場板を。頑丈でなにしろ安いから。

思いのほか話は早くまとまり、そのままblackbird予定地へ。

 

 

 

 

 

 

 

途中水戸黄門と水戸芸術館のコラボ地点を発見。いい眺めでしょ(笑)ちなみにblackbirdはこの写真の右下、みずほ銀行のとなりのとなりの白い建物。わかるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

到着後、鳥かごをモチーフにした看板の取り付け位置を模型を使って確認。この看板、岩松さんの大学の時の同級生で金工をやっている方にオーダーして作ってもらう予定。とにかく何から何まで思い入れの固まりみたいな店する。僕だけじゃなく、プロジェクトに関わってくれているみんなの思い入れが全部詰まった店に。

 

夜、久松農園の野菜で鍋を作る。美味しい。特にカブは力強く、甘みがある。葉ものの味の良さはよく分からなかったが、それは鍋向きじゃないからかな(明日、油で炒めてみようと思う)。これから定期的に送ってもらい、店でもぜひ使っていきたい。

 

 

 

早いものでこのブログを初めて2ヶ月が経ちました。ちょっとした自慢ですが、一日も欠かさず書いています。止めたければいつでも止められる状況で、締め切りも、強制もないのに毎日結構な時間を割いてなんでこんななんの役に立つかも分からない文章書いてるんだろう?と思う事もありますが、好きなんでしょうね、書くのが。そして不思議なもので僕の知り合いという知り合いみんな読んでくれているようで、気持ちが悪くもあり(失礼:笑)うれしくもあります。あった事をあったまま、感じた事を感じたままできるだけフラットに書くという基本姿勢はこれからも変えずに(たまにカミさんには書き過ぎだと怒られますが)、より面白い事を書いていけたらなと思います。これからもおつきあいください。そして感想などお聞かせ頂けたらうれしく思います。

(contactから送っていただければ直接僕のところにメールが来るようになっています)

月末からはいよいよ工事が始まり、10日後には10日間のイタリア研修。12月頭オープンを目指して、がんばっていきたいと思います。今後もどうぞおつきあい下さい。

 

9月25日 晴れ

10時。表参道の友人が店長兼ディレクターを務める美容室THE OVERSEAへ。僕が吉祥寺で働いていた頃によく店に来てくれていたお客さんで(僕が彼のお客さんでもあったんだけど)、美容室は6月にオープンしたばかり。髪を切ってもらいながらいろいろな話をする。オープン直後のドタバタは終わったみたいだけど、やっぱり相当大変そう。それでも充実した様子はひしひしと伝わってくる。そういう姿に単純な僕は凄く影響を受けるんだよね。業種の違いとかをぴょいっと越えて。

ちなみにまだロン毛です。もう6年目。

 

帰りに表参道駅で面白いものを発見する。駅の中のカフェのバールにこんなびっくりなエスプレッソマシンが鎮座(という表現がぴったり!)してました。

こういうの見るとblackbirdのマシンも金色にしてよかった!って思う。だってなんか笑っちゃうもん、ダサくて。ちなみに下の写真左が最初の候補。これを2台使ってやろうという案があったんだけど、実は業務用ではないし、ちょっと無理かも・・・、というわけで同じELEKTRAの別の(写真右)金ピカに。ちょっと成金っぽい。そしてこれが通りから見える場所に鎮座することになる。言ってみれば看板代わり。

 

 

実際はこれ

 

 

 

 

 

 

 

 

12時にD&DEPARTMENTでスタッフの田中さん、野口さん、鈴木さんとランチ。ありがたいことにブログを読んでくれているようで、説明しなくてもだいたいのことは知ってくれている。ブログって便利だな。そしてみんなに話をしている間に、自分の中のblackbirdに対するイメージがより深まっていくのが分かる。話しながら考え、そして考えながら話す。その繰り返し。

 

その後自由が丘の病院へ。退職して1ヶ月。体調はかなりいい。オーナーシェフなんてかっこいいこと言っても結局これからは(「も」ですね)体力が全て。血液検査の結果も正常値だって。よかったー!薬も少し減らせそう。

物件探し6日目。朝から雨。
明け方4時ごろ、目が覚めてしまう。やはり軽く興奮しているようだ。グループの掲示板を覗くといくつか書き込みがあり、寝ぼけながらも返信する。そのまま再び浅い眠りに。
8時頃起きると姉と甥が遊んでいる。甥はすっかり僕に慣れてきて、なにかっつーと「あーくん、すごいね~」と褒めてもらいたがる。かわいい。姉とお金のことや仕事のことなど現実的な世間話をしばらくする。
11時着のスーパー日立で岩松さんが到着する。水戸までノンストップでくるやつで上野からジャスト1時間。改札から手を振るとすぐに気づいてくれる。
「電車から見たら近くの湖(千波湖)の周りがオランダみたいだったよ!」
さすが、言うことが違う。
今日のポイントはこの一点。
「自分が感じた確信を岩松さんにも感じてもらえるか。」
歩きながらこの街に関して僕が感じたことをひとつずつ説明していく。
雨のためか普段より人通りが少ない。いろいろな通りを歩きながら芸術館まで行き、候補に挙がっていた4つの物件を外から見て回る。物件4の立地のよさに驚いている。その間1時間。狭い街なのだ。
約束まで1時間あったので和食屋でお昼に。食べながら昨日書いた手書きの図面を見てもらう。
不動産屋へ。担当のKさんの茨城弁を堪能してもらいながら(初めて会った気がしない:岩松談)、物件3へ。「DDDをやるならここがいいよね」との感想。そう、広いのだ。僕の理想は狭くても活気がある店。立地もやや奥まった場所にあり、わざわざ来る系。一応採寸だけしておく。
続いて物件4へ。岩松さんは冷静に電気は何ボルトが来ているのか、ガスはプロパンか都市ガスか、水道は、ダクトは、照明は等々、Kさんに質問している。採寸も手際よく進め、僕が書いた図面と照らし合わせていけるかどうかのチェックをしている。
「どう思います?」
「いや、大きな問題もなさそうだし理想としている店をやるならここしかないんじゃない。」
とのこと。やった!
担当のKさんに家賃をもう少し何とかできないか聞いてみる。
「う~ん、たぶんもう少しならいけると思いますよ。」
「よろしくお願いします!」
Kさんと別れ、ミーティングをするために近くのカフェへ。実際に採寸した寸法に僕の手書きのレイアウトにある ベンチシート・テーブル・通路・厨房器機の寸法を入れて いくとすべてがぴったりはまる。 二人で鳥肌が立つ。ずっと頭に思い描いてきた店がそっくりそのまま再現されるのだ。やりたいことがはっきりしているから店のつくりは極限までシンプルにできる。厨房機器も中古(新古)品をうまく使えば安く上がりそうだ。ダクトやグリストラップ等、設備を新設する上でも問題は少なそう。 工務店はヒロさんがいい人を知っているって言ってたから紹介してもらおう。
今後の流れと僕が何をしていけばいいのかを打ち合わせする。なにぶん初めての店作りで分からないことだらけだ。岩松さんが頼もしく思える。ありがたい。
当初、できるだけ手作りの店にしようと考えていたが、最後の仕上げの部分だけ自分たちでやり、基本的な部分はしっかり業者に頼んで作ってもらうことに。手作り感いっぱいのカフェではなく、ハードな営業にも耐えられるような店にするためだ。大げさではなく、20年、30年、ここで料理をするのだから。
今後の流れはこんな感じになる。
図面完成/工務店に見積り依頼     2週間後
見積りチェック/工事発注          4週間後
工事                      10月頭~11月頭
プレオープン、レセプション、オープン     11月最終週
同時進行で
厨房機器、イス、テーブル、什器(皿、カトラリー等)の選定/買い付け
店内の装飾
メニュー/オペレーション開発
芸術館へジュリアンオピー展を見に行くという岩松さんを見送り、ブログの更新をするためにネットカフェへ。
さて、やることいっぱいだ。
忙しくなるなぁ。

物件探し5日目。ようやく晴れたが、すごく涼しい。

退職してまだ1週間しか経っていないなんて信じられない。いろいろあったがここまでは上手くいきすぎなほど順調だ。

朝9時に市の生涯学習センターに行く。1時間¥110でネットできるというのだ。回線が遅く、しかもGmailがチャット扱いになってしまい使えない。仕方なくブログの更新だけして1時間で出る。まあ、使えるだけましか。

途中、水戸市公設卸売市場に寄ってみる。魚は那珂湊に買い付けに行くのは決めているが、野菜をどこで仕入れるかはまだ決まっていない。がらんとしているので入り口のおじさんに聞いてみると残念ながら今日は休市日らしい。
「個人で小さなレストランをやろうと思っているんだけど、買いに来ることは可能か?」と聞くといろいろ教えてくれる。茨城の人はみんな親切だ。親切で、保守的。また来てみよう。

水戸までの道のり、カーステレオからボブディランの「I want you」が流れている。晴れて澄んだ空気の中聴いているとここがどこだか分からなくなる。僕にとって車とは音楽を聴くための場所だ。40年以上前の曲なのになんでこんなに素敵なんだろう?僕はジャンルレスで何でも聴くが、ストライクゾーンは結構狭い。最近の曲はあまり知らないので、ダイニングのユガっちにいつも教えてもらっていた。ユガっちとはかなりストライクゾーンが近く、彼が新しいの担当、僕が古いの担当で1年くらいかけてお互いのコレクションをほぼ全部貸し借りしたことがある(僕はトータル200枚くらい持ってきた)。
余談な上にお恥ずかしい話だが、10代のころミュージシャンになりたいと結構本気で思っていた。20代の頃は音楽ライターになりたいと思い、ロッキングオンに投稿したこともある(フィッシュマンズのロングシーズンに関するレヴュー。もちろんボツ)。何が言いたいかというと「音楽と関わりがある仕事に就きたい」とずっと思っていたということだ。そしてすべての夢に破れ、僕が考えたことは・・・

「自分で店をやれば一日中好きな音楽を聴きながら仕事が出来る!」

なんて浅はかな・・・。

もっと余談だが、なんでどこも有線なんだろう?これを書いているネットカフェもずーっと同じ曲がぐるぐるぐるぐる。北京オリンピックのテーマソングが多くて本当にうんざりする。

昼前に水戸に着き千波湖畔をぐるっと歩いて市街地へ。本当に気持ちがいい。この裏手に住むことができるなんて。楓の成長にはすごくいいんだろうな。

とにかく街を歩く。路地という路地をくまなく歩いているうちにずいぶん街の地理が分かるようになってきた。人の流れも。
芸術館の近くのカジュアルなイタリアンベースのカフェでランチすることに。料理はそこそこ。パスタがちょっと薄味かな。水戸の人は薄味なのかも。内装もシックで好みだが・・・、

12時半に入って13時半に出るまで客は僕ひとり!。

う~ん、裏通りだからだろうか?夜はもっと入ってるんだろうか?これでやっていけるんだろうか?とこっちが心配になってくる。
店を出て、試しに二日前に食べに行った「世界一のパスタランチ」の店を覗いてみると14時前だというのに7割くらい埋まっている。さすが世界一。200gまで無料はダテじゃない。そこは裏通りだがビジネス街の近くで周りにも競合店がいくつかあるにも関わらずだ。
物件選びは本当に一歩間違えるととんでもないことになるかも。奥まった場所に出店するにはその欠点をカバーできるくらいの何かがないとだめだろうな。「もう一度来たいな」と思ってもらえる努力をしないと。

やや歩きつかれたので、芸術館の芝生の上で休んでいると、無性に「ジュリアン・オピー展」を見たくなる。芸術館の中に入るのも久しぶりだし、当日券を買って見ることにする。
展示がある2階に上がるととんでもなくでかい作品が目に留まる。どうやって運んだんだろう?美術館特有のひんやりした空気がとても心地いい。天井から漏れる自然光も。「フランスの風景」という作品の前で足が止まる。なんて素敵なんだろう。後ろで流れているギターのアルペジオも作品にぴったりで心に響く。店に置きたい。いくらするんだろう?高いよな。ブラーのジャケットくらいでしか知らなかったが大好きになった。

水戸で店をやろうと思ったときにまず浮かんだのが芸術館の存在だった。4月に最初の視察に来たときも「やっぱり間違っていなかった。ここの周りで店をやろう。」という思いは深まるばかり。車での移動が主流で、どんなに郊外に人が流れていようと、やっぱり自分は「文化」の一員でありたいと思う。感性や感動する心を大切に生きていたいと思う。
郊外のショッピングモールに文化はない。あるのは消費だけだ。消費と有線から流れるJ-POPとパチンコとファミレスで満足していいはずがない。自分が店をやることで、少しでもそんなことに気づく人が増えてくれればなと思う。
「海辺のカフカ」でホシノさんが気づいたように。えらそうなことを言うようだが、本気でそう思う。

のどが渇いたのであらかじめチェックしていたカフェに入る。カリモクのロビーチェアがあって、ゆったりしていてダイニングを思い出す。カフェラテもおいしい。でもお客さんはいない。裏通りのビルの3階。
物件その4を借りることを前提にした開業計画書の作成に着手する。東京を出る前に買っておいた「飲食店完全バイブル」という本を片手に売上目標、投資額上限、席数、客単価等々、試算していく。なんとか成立しそうだ。明日、岩松さんとスムーズに打ち合わせできるようにノートに図面を書いて、どこに何を配置するかも考える。楽しい。

止めていた駐車場が17時で閉まるというので車を取りに行く。途中橋の上から空を見ると虹が出ている。祝福された気分。そのまま遠回りをして郊外を一周して帰ることに。途中でかい古着屋を見つけたから入ってみると、ワゴンにカートコバーンみたいなボーダーのロングスリーブTシャツが。¥315。迷わず買う。僕が服を買うときの基準はシンプルだ。まず安いこと。あとは「これはジョンみたい」「リアムみたいなコート」「マークボラン!」「ヒロト!!」とかそんなの。15年くらいそんな感じ。

明日は運命の一日。

いい風が吹きますように。

blackbirdは8人のプロジェクトチームで動いている。

僕、フジオ、A(名前はまだ出せません)、亜紀、グラフィックデザイナー2人、店舗デザイナー、フードアドバイザー。みんなずいぶん前から「独立するときはよろしく」と声をかけていた人たちで、それぞれ忙しい中協力してくれている。

住んでいる場所もバラバラなので、顔を合わせたミーティングができない。それをカバーし、情報を共有するためにGoogleに掲示板を作り、全員のメールアドレスを設定し議題があがるとその内容がそれぞれにメールとしていく形をとっているのだが結果としてこれが大当たりだった。掲示板設置後1ヶ月半くらい経つが、その間ずっとすごい盛り上がりを見せている。最初は情報共有が第一の目的だったが、今ではそれぞれの専門の立場からいろいろな意見を言い合うような場へと変化している。エンブレムも基本的なアイディアは僕が出し、このグループで膨らませて、グラフィックチームが仕上げてくれたものだ。しかもあれで完成ではなく、気づいた欠点の修正が今行われている。

物件に関してはメンバー間でも意見が分かれており、「その3」の人気が根強い。建物の佇まいと敷地の広さ、裏通りのひっそりした感じがその理由だ。僕も、東京で出すのならおそらく「その3」を選んでいるだろう。でもここは水戸なのだ。

blackbirdは僕のものであり、関わってくれているみんなのものだ。
甘ったれた意味でもなんでもなくそう思う。そして、そうなってくれたことがすごくうれしい。

※projectで使っているのはこの掲示板です。メンバー以外は見ることはできませんが、参考までに。
http://groups.google.co.jp/grphp?hl=ja&tab=wg